皆さまこんにちは。
去る2014年1月28日(火)に開催された、国際ワークショップ(主催:国際緑化推進センター:JIFPRO)の開催報告です。
世界の森林に関するFAOの報告によれば、毎年780万haの森林が造成されている一方で、途上国を中心になお1300万haの森林が減少・劣化しているとされており、こうした森林の減少・劣化は、農業開発、鉱山開発等のための森林の他用途への転換や焼畑や過放牧、木炭生産のための伐採などの諸活動により引き起こされています。
特に、乾燥地及び半乾燥地地域では、もともと土地の生産力が低いこと、また住民が貧困状態にあることなどから、森林の復旧により困難を伴う場合が多いことに加え、干ばつの被害を受けやすく、水の消費者となる樹木の植栽については慎重な対応が必要となります。
以上のような背景から、「乾燥地域・半乾燥地における森林造成と水問題」というテーマでワークショップが開催されました。
そして、森林造成と水の問題について、基調講演として吉川賢講師(岡山大学大学院環境生命科学研究科教授)、パネリスト報告として山下昌一講師(海外林業コンサルタンツ協会)、Maung Myo講師(ミャンマー国環境保全森林省森林局)、「緑のサヘル」の事務局長である菅川拓也がそれぞれの取り組みを報告いたしました。
吉川講師からは、ケニアでの現地調査の例などを挙げながら、水環境の保全などを配慮した森林造成に向けてどのような取り組みをすべきかについてお話しがありました。
山下講師からは、中国の黄土高原の自然環境や生活環境をはじめ、JICAのプロジェクトを通じて実施している森林造成の取り組みについて発表されました。
また、Myo講師は、ミャンマー国や国内の半乾燥地域の概況を述べながら、政府が行う森林造成と水資源の確保に関する取り組みをお話しされました。
そして最後に、「緑のサヘル」事務局長の菅川からは、これまでチャドやブルキナファソで行ってきた集水技術・灌水方法の工夫、村落や小学校において実施している植林活動について発表させていただきました。
「緑のサヘル」事務局長・菅川が講演する様子。
パネルディスカッションの様子。
活動国は異なりますが、乾燥地域・半乾燥地において、如何に水を確保し造林を行っていくのか、どの講師の方々も様々な苦労や工夫をされていることがわかりました。講演後のパネルデジスカッションや質疑応答では会場から様々な質問・意見が投げかけられ、有意義なワークショップとなりました。
今後も様々なイベントで、「緑のサヘル」の活動を多くの方に知っていただきたいと思いますので、今回ご参加いただけなかった方は、是非またの機会にお越しいただければと思います。