緑のサヘルの活動
「緑のサヘル」の視点
現地の住民が、これからも生活を続けていけるために
現地の現状
都市部を含め、現地での調理は薪を使用します。地方では、食材を地域植生の中から調達しています。家畜の飼料となる木の実や枝葉、民間医薬品として病気の治療に使う素材も地域植生から採取します。このように、住民の生活と地域植生は密接な関係にあります。地域植生の衰退は、生活への圧迫を意味します。
考え方
現地の住民が感じている「心配事」に注目します。
心配事とは、「現時点ではさほど気にはならないが、これから先のことを考えると無関心ではいられない事=懸念」を指します。
問題とは、「現時点において障害となっている事、不足している事」を指します。
心配事に注目するとき、現地の住民と対話が可能となり、相互理解のきっかけになります。そして、意識への働きかけの第一歩にもなります。
生活基盤の心配事 | 生活用水不足、収穫量の変動、燃料資源の不足、現金の不足 |
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生活手段の心配事 | 農機具の不足、地力低下、土壌浸食、用水不足、市場の不足、市場性の高い商品の不足(生産・加工手段の不足)、運搬手段の不足 |
取り組み
木を植える前に、木を植えることの出来る生活づくりを考えなければなりません。つまり、これからの生活を考える前に、いまの生活をなんとかしなければなりません。生活=暮らしの基本要素となる「飲食、労働、お金」の部分、への働きかけは、先に繋がっていく「ゆとり」を作り出すことなのです。井戸掘削や改良かまどの普及は、不足状態の改善だけではなく、労力を軽減する効果もあります。穀物備蓄は食糧保障となるだけではなく、村内での貸し付けや市場での販売を通じて、現金収入にもなります。
次に、環境の部分への働きかけを行います。ここでも、住民の生活に近いことを意識した取り組みを行っています。例えば、植林と食糧の結びつきとして「果樹栽培」や「アグロフォレストリー(耕地内植林)」の普及、家庭で出来る「改良かまど」普及、そして生活と環境をつなぐ「植生保護区」の設置です。これらを通じて、生活と環境のつながりについて意識し、取り組む方法があることを知ってもらうことを目指しています。
これらと平行して、取り組みを持続的なものにするため、住民組織の強化を図ります。運営方法や管理体制の整備から始まり、経営力の獲得を目指します。そうすることによって、住民自身による活動の選択と継続が可能になります。
生活基盤への取り組み
- 生活用水不足への取り組み
- 井戸掘削
- 食糧生産不足への取り組み
- 野菜栽培普及
- アグロフォレストリー普及
- 穀物備蓄支援
- ザイ、石帯の技術普及
- 燃料資源不足への取り組み
- 改良カマド普及
- 現金不足への取り組み
- 落花生貸出
環境への取り組み
- 地域環境の回復への取り組み
- 苗木生産支援
- 植栽支援
- 果樹栽培普及
- 地域環境の保全への取り組み
- 植生保護区の設置
持続性への取り組み
- 住民組合運営力強化の取り組み
- 講習会
- 視察研修
- 住民組合経営力強化の取り組み
- 講習会
- 派遣研修
期待
これらの取り組みによって、生活の中の日常的な行為としての環境保全活動が定着すれば、と考えています。