サヘル地域とは?
砂漠化するサヘル
「飢餓ベルト」―それが今のサヘル地帯の呼称のひとつです。 砂漠化に瀕し、森林の恵みを失い、住民を慢性的な食糧不足に追いやる「サヘル」地帯が、かつては確かに<緑の「岸辺」>と呼ばれていた。これは、にわかには信じがたいのではないでしょうか。
なぜ、緑の「岸辺」は砂漠となってしまったのか。
砂漠化には、地球的規模での気候変動や海水温度の変化など、その土地に住む人々の力が及び得ないところでの「自然的」な要因が関係しています。しかし、それだけではなく、耕作地拡大のための森林地の開墾、商品作物や穀物の連作、家畜の過剰放牧など、当たり前の「人間活動」も大きな要因になっています。このような「人間活動」により、土地の力が弱まり、植物が生長しにくくなる土地になってしまうことを、砂漠化といいます。
そして、「砂漠化」という変化により、穀物生産の低迷、生活用水の不足、調理用燃料の不足、食材や民間医薬素材の不足、家畜飼料の不足などを招き、住民の生活は苦しくなっています。ですから、現地の人々にとって、「砂漠化」とは「生活が苦しくなること」と同じなのです。
私たちがあたりまえに思っている恵み ―心癒される森や十分な食事、のどをうるおす飲み水― に守られた豊かな暮らしが、あたりまえでなくなっている場所が既にあるのです。自然と生活の関係を修復し、豊かな恵みを次の世代に引き継ぐために、いまこそ私たちは行動しなければなりません。
「緑のサヘル」は、このような考えに基づき、サヘル地域に住む人々と共に、生活基盤の保障を図りながら地域環境の回復と保全を進め、人々がこれからもその地域で生活を続けていけるような状況を取り戻すための取り組みを行っています。